京都地獄めぐり・高さ2.4メートルの巨大えんま像。千本ゑんま堂 引接寺【京都市上京区】

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夏の京都で地獄めぐり。千本ゑんま堂の閻魔像

①高さ2.4メートル!巨大えんま様を見に行こう
②キーパーソン小野篁と紫式部の供養塔
③ついに!地獄の扉が開く時
④えんま様の誤解とこんにゃく
⑤千本ゑんま堂 引接寺の御朱印

普通、お寺にある仏像といえば穏やかなイメージです。
不動明王なんかはめっちゃ怒ってますが、それでも『まぁ仏様だし』っていう安心感はありますよね。
プロレスラーが恐妻家みたいな。

が、なんと京都に地獄の象徴である閻魔大王の像があるんです。
しかもその大きさは高さ2.4メートルと超巨大。

その閻魔像があるのが京都市上京区千本通にある引接寺こと千本ゑんま堂です。
この千本通りという通りの名前は卒塔婆が千本並んでいる光景から名づけられたそうです。

もう由来からして様子がおかしい。

高さ2.4メートル!巨大えんま様を見に行こう

引接寺へ行くには、

京都駅から京都市営バス206号系統「乾隆校前」下車
四条河原町から京都市営バス46, 59号系統「乾隆校前」下車
京阪三条から京都市営バス59号系統「乾隆校前」下車

京都市営バスですよ。
曼荼羅みたいな路線図を見て以来、京都の市バス=難しいっていう先入観があるから、ちゃんと乗れるのか初っ端からドキドキ。
そもそも「乾隆校前」が読めない。(「けんりゅうこうまえ」でした。)

京阪三条からだとA2乗り場から出発です。

誰も乗らないとわかると「ドアが閉まります」のアナウンスに被せ気味でドアが閉まる殺伐さに挫けず、「このバス乾隆校前行きますか?」と運転手さんに聞ける自信が無いのであればバス・鉄道の達人(アプリ有)で調べておくと不安軽減。

バスに揺られること約30分。
「乾隆校前」で下車すると目の前は商店街です。
停留所から商店街を左手側にして徒歩2分くらいで到着。

中へ入ると左右にはいきなり地獄絵図。


痛み具合と薄暗さの相乗効果で地獄感がすごい。

ならば正面に控えるこの目力強めな仏像も地獄関係なんだろうかと思ったらびんずる尊者というお釈迦様の弟子の一人で、体の悪いところと同じ部分を撫でると病気が治るんだそうです。

本堂の鐘の上にある大きなお椀は閻魔様のお湯呑椀で、ここにお賽銭を入れる事ができると1万回お参りしたのと同じご利益が得られます。


昔話とかだと、こういう『楽してご利益ゲット』みたいなことを実行するとたいがい罰が当たるものですが、ここは閻魔様がOKって言ってるんだから安心。
さっそく投げた10円玉は惜しくもなんともない場所に当たり、そのまま下のお賽銭箱にイン。

万倍のご利益に目がくらみ、諦め悪く二投目三投目と投げ続ける者からお賽銭を搾り取るシステムでした。

このお賽銭箱に貼られているパネル写真こそ、ここ引接寺こと千本えんま堂のご本尊 閻魔法王です。
普段、内陣は格子戸が閉められているので閻魔様は隙間越しにしか見ることができませんが、昇段料500円で本殿に上がって目の前で拝観する事ができます。

そこで寺務所へ行くと『食事中です。ご配慮願います』の張り紙がされていたので、先に境内を見て回ることにします。

キーパーソン小野篁と紫式部の供養塔

引接寺の奥には紫式部の供養塔が建てられています。


紫式部といえば源氏物語。

『源氏物語』(げんじものがたり)は、平安時代中期に成立した日本の長編物語、小説。主人公の光源氏を通して、恋愛、栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、平安時代の貴族社会を描いた。

当時の人々を魅了したのはもちろん、現代では翻訳数20ヶ国語以上ともなる大ベストセラーを引っ提げて堂々あの世入りを果たした紫式部は、『でも源氏物語って全部ウソでしょ?』っていう身もふたもない一言で地獄行きとなります。
しかも、妄語(嘘をつく)罪は重く、行き先は地獄の中でも二番目に厳しい大焦熱地獄。

その事実を知ったのが、昼は宮中に仕え夜は地獄で閻魔大王に仕えたとされている小野篁でした。
女のウソは許すのが男だドン!!と言ったか言ってないかは定かではありませんが、小野篁が閻魔様へ取り計らったおかげで紫式部は逆転無罪。めでたしめでたしとなったそうです。

そして、ここ引接寺を開基したのが小野篁なのです。

引接とは引導という意味で、千本の卒塔婆が並ぶこの地で死者に引導を渡す為、地獄で見たままに刻んだ閻魔像を祀った祠を建てたのが引接寺の始まりだそうです。
元の閻魔像は応仁の乱で焼失し、現在は室町時代に再建された閻魔像が祀られています。

どうやら閻魔様からかなりの信頼を得ていた小野篁は、先祖の精霊を再びこの世へ迎えて供養する精霊迎えという法儀まで授かります。

旧盆に迎え鐘をついて水塔婆を流すお精霊迎え(おしょらいさん)は、今でも夏の伝統的な行事として行われています。


ついに!地獄の扉が開く時

そろそろご飯食べ終わったかなぁと見てみると、まだ食事中。
中を覗くと奥の方で食卓を囲む姿が少し見えます。
気付いてくれるかもと淡い期待を抱いてしばらく立ちすくんでみたけれど、どうも話に花が咲いている様子。

閻魔様の使いの食事を邪魔するわけにもいかないし、さっき水場にいたせいか蚊にかまれたし、いったん商店街へ薬局を探しに行きました。

無事にムヒを購入し、ついでにどっかでお茶でもしていこうと辺りをウロウロしてみたけれど、気軽に入れそうなカフェは見つからず再び戻ってみると人がいる!!

どうやら12時~13時は昼休憩のようなので、これから行く人はこの時間は避けた方がいいかもしれません。

御朱印と閻魔像の拝観をお願いすると、『じゃあ御朱印を書いたら行くので先に本堂に上がって待っていてください』とのこと。
入り口が左側にあるのは、まさに裁判所をイメージした造りにしているからなのだそうです。

閻魔像を目の前で拝む瞬間を今か今かとワクワクしながら待っていると、急に流れていたBGMがバグりだしました。

なにこれ怖い。
いやでも大丈夫。いざとなればきっと住職さんが飛んできてシャッシャって指で五芒星をきるあれとかやってくれるはず。

ふと腕が痒くなり、無意識に掻いた指に違和感を覚えて目をやると逃げ遅れた蚊が潰れていました。
殺生=等活地獄行き。

これが初めてじゃないんだからと言えばそれまでなんだけど、さすがにこのタイミングはマズいじゃないですか。
とりあえず今すぐ弁護士を呼んでくれませんか。

そうこうしているうちに先ほどの職員さんがやってきて準備を始めます。
堂内は内側からカーテンが閉められ、外からは中の様子が一切見えなくなります。

お線香に火をつけ、ついに御開帳
待ちに待ったこの時ですが、今の私にとっては開廷の瞬間。

千本ゑんま堂 引接寺閻魔像 ©千本ゑんま堂 引接寺
堂内は写真禁止だったので引接寺の公式サイトからお借りしました。

『まずは閻魔様に3回お焼香をしてください』と、いきなり裁判官である閻魔様の目の前に誘導されます。
手を伸ばせば触れる距離で見上げる2.4メートルの閻魔像は圧が凄い。

特に見開かれた瞳の目力。
この瞳には琥珀が使われているそうです。

『最初は怖い顔に見えるけど、帰る頃には不思議と優しい顔に見えると皆さんおっしゃるんですよ』とのこと。
そうであってほしいです。切実に。

閻魔様の左側が司命尊。
こちらは検事の役割です。

えんま帳と呼ばれる巻物を持っていて、そこには生前の行いが全て記録されています。
『きっと今日の参拝も記録してくれていますよ』と優しい言葉を掛けてくれる職員さんに蚊の討伐数も更新されましたとは言えず。

画像には映っていませんが、傍には弘法大使の仏像も祀られていました。
実はここ引接寺は高野山真言宗に属するお寺なんだそうです。

そういえば、高野山の奥の院には高野山に参拝した回数を数えて閻魔様へ報告することで現世での罪をできるだけ軽くしてくれる数取地蔵尊というお地蔵さんがいます。

私それ知らなくてお墓のテーマパークやぁ~!って浮かれてたから手も合わせてないんだけど、そんなんでもカウントしてくれているんでしょうか。

そして閻魔様の右側が司録尊。
こちらは書記の役割で、裁判の様子を記録しています。

司録尊の像にはまだ朱色が残っていて、きっともともとは3体共に豪華な装飾が施されていたんだろうということでした。
司命尊・司録尊の像の後ろには地獄絵図が描かれていて、この壁画と閻魔像はルイスフロイスの日本史にも記録されているそうです。

えんま様の誤解とこんにゃく

すっかり閻魔様たちに面が割れたところでしばし休廷に入ります。

既にお気づきのことと思いますが、あの世での裁判は弁護士不在です。
見上げた天井には色とりどりの花が描かれていて、それは全て極楽に咲く花なんだそうです。

届かない頭上の極楽に手を伸ばしながら強面3人に生前の行いを責められるなんて想像するだけで絶望的。
そうだよ私だよ!私がやりましたよ!!って自暴自棄にもなりそうなもんですが、実は閻魔様は地獄に行かせたいわけではないのです。

怒りの表情なのは地獄へ行かせたくない一心で必死に地獄の恐ろしさを説いているからで、元は地蔵菩薩の化身なんだとか。

閻魔様の好物はこんにゃく。理由は裏表がないから。というエピソードからは、休日に人と喋りたくなくなる接客業従事者のような雰囲気すら感じます。

引接寺で毎年5月に奉納されるゑんま堂狂言は、狂言には珍しくほとんどの演目にセリフがあり、しかも観客から笑い声が上がることも珍しくないそうです。
どうにかして守ってあげたいのに平気で嘘をつく人間を毎日毎日相手にするストレスフルな閻魔様の年に一度の楽しみなのかもしれません。

帰り際に、『どうですか?優しいお顔に見えてきましたか?』と聞かれました。
改めて正面から閻魔様をまっすぐ見つめ、大きく息を吸い込み、私はこう答えました。

『いやぁ~・・・アハハ』

嘘ついてないからセーフ。

千本ゑんま堂 引接寺の御朱印

拝観時間
9時00分~17時00分
拝観料
無料
昇段料
500円
駐車場
あり

京都地獄めぐり

引接寺だけじゃない!京都の地獄スポット!
小野篁の地獄通い。六道珍皇寺の地獄へ通じる井戸
高台寺の百鬼夜行展

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